GRAND CHACONNE


新曲依頼OKの返事を頂いた時の手紙

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藤掛先生への新曲依頼は、上の回生と、その上の回生もTRYして、断られていました。神戸大学マンドリンクラブとしては3年目での悲願達成というところです。新曲を書いて下さるとの返事をいただいたのは、
1980年6月19日でした。その時の喜びと感動はいまでも忘れられません。同時に初演の責任の重さがずしっときたのも事実です。

でもこれで東京公演の大きな目玉ができ、観客動員に大きなプラスとなりました。当時の外マネが東京の大学のマンドリンクラブに東京公演のPRに回った時に、「あのパストラルの藤掛さんの初演がある」という一言がものすごく有効だったとのこと。久保田孝さんもきてくれました。

藤掛先生に新曲依頼のお礼の連絡をした時、受けてくださった理由を「あなたのくれたかなり長い手紙をうちの女房が読んで、こんな熱心なんだから書いてやんなさいって言うもんで・・・お礼は女房に言って」との事。その時ずうずうしくも「パストラルみたいな美しい旋律と、単音が各パート動くやつお願いします。」なんて今思えば赤面もの、恐いもの知らずだったんですね。非常識!!創作料は○万円でした。新曲のスコアは早くも8月31日に下宿先のふたば美容院に速達で送られてきました。2ヶ月ちょっとで完成した事になります。

(神戸大学マンドリンクラブOB・OGのHPに投稿した文章より−1999年成瀬賢次記)

注・・・「木馬」は1980年6月29日/ジョイントコンサート/アンコール曲。「セレナーデNo.2」は1980年12月16日/第25回定期演奏会/3部1曲目。いづれも指揮:成瀬賢次。また手紙の文章にある「初演好演してくれた広島修道大学・・・」という1文がかなりプレッシャーになってました(^^ゞ。 私達も初演好演できるだろうか・・・と。

また、スコアを見るまで、曲名はわかりませんでした。



初演に使用したスコアのコピー

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1980年8月31日に送られてきたスコアの表紙に、『CHACONNE for M.O.神戸大学マンドリンオーケストラの為に作曲 藤掛廣幸』 と書かれてあり、すぐバッハのギターでは最初の和音から難しいあの曲を連想し、ゴクっとのどがなった。

おそるおそるめくると、音符が少ない! う〜んなんか弾けそう。中盤にパストラルのフーガみたいな単音の動き。その後のやっぱりうれしい主題の再演。しかもフォルテシモ。最後はお決まりのフォルテ3つ。賛助不要で曲の長さもほどほど。これは・・・ひょっとして名曲になりそう・・・だけど曲のまん中へんにある、緊張感にあふれた間!!と書かれたグランドポーズ。と、その後にある難しいリズム。なんとなく不安。

そういえば、ここの指揮の振り方は直接藤掛先生におそわった。皆さんはどうして振っているのでしょうか。緊張感ある間が表現できてますか?

当時の先生の住まいは岐阜市、日野。速達地域外と言う所で、田んぼの中の一軒屋。部屋の中にはシンセサイザーが3台コの字に並んでいて、打楽器がいっぱいつるさがっていて、これ一人で弾かれるのですかと聞いた所、さっそく縄文符という曲を弾いてくれた。大音量の生演奏はやっぱりすごかった。

(神戸大学マンドリンクラブOB・OGのHPに投稿した文章より−1999年成瀬賢次記)

注・・・この曲が作曲されたとき曲名は「CHACONNE」。まだ「GRAND」がついていませんでした。その当時、私は藤掛先生が吹奏楽のために「シャコンヌ」という曲を作られた事実と、神戸大学の倉庫にあったチンチロリン合奏団の演奏会パンフより、石川透氏がその吹奏楽の曲をマンドリンに編曲して発表したことを知ってました。演奏は聞いたことがなかったので、この委嘱してできあがった新曲が、吹奏楽の「シャコンヌ」をマンドリン合奏へ書き直したものなのか、ちょっと混乱しました。そのことを藤掛先生に聞いてみました。(下へ続く)

しかし、破れて貼ったセロテープの黄ばみが時代を感じさせますね(^^;



1980年9月ごろ頂いた手紙

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新曲依頼OKより2ヶ月でスコアをいただいたお礼と、吹奏楽の「シャコンヌ」との同名のことへの
質問に対する返事の手紙です。なお、その時同封でいただいた曲目解説です。





1981年に藤掛先生よりいただいた年賀状

曲名が「シャコンヌ」から「GRAND CHACONNE」へ

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初演データー

1981年4月4日/浅草公会堂/神戸大学マンドリンクラブ/Spring Concert in Tokyo/

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tokyopanfu.jpg (6534 バイト) T部 指揮:成瀬賢次
   祈り(Preghiera) U.Bottacchiari
   シンプル・シンフォニー 尾園勝善
U部 指揮:杉山    雅
   田園写景 S.Falbo
   マンドリンオーケストラの為の“群炎”V 熊谷賢一
V部 指揮:成瀬賢次
   GRAND   CHACONNE(初演) 藤掛廣幸
   歴史的序曲(Ouverture Historique) 帰山栄治

表紙デザイン:銀羽    丘                            コンミス:T・V岡田裕江/コンマス:U西  泰樹



 sankouCD1.jpg (13693 バイト) マンドリン合奏曲参考資料1

1.グランド・シャコンヌ
2.スタバート・マーテル
3.パストラル・ファンタジー
4.ファンタジア九州
5.エンジェル・コーラス

「GRAND CHACONNE」の初演の演奏は、大変光栄なことに、藤掛廣幸音楽事務所で販売しています、
マンドリン合奏曲参考CD1(現在14種類)に収録されています。
左写真:2007年12月新ジャケット、右写真1999年に私が購入した時のもの
 


そして20年


神戸大学マンドリンクラブ京都公演 (SpringConcert2001)

日時―2001年3月22日/会場―京都府立府民ホール・アルティ/開演―18:30/入場料―無料

1部
SINFONIA Giuseppe Manente
PLECTRUM SERENADE 上田 益

2部
〜映画音楽〜

3部 指揮:戸松啓佑
Stasis Field(停滞空間) 岩井 邦嘉
GRAND CHACONNE(初演版)
      ―委嘱初演20周年記念― 藤掛 廣幸

 

GRAND CHACONNEは神戸大学マンドリンクラブの委嘱により作曲されたもので、その素晴らしい名演奏により多くの人達に知られるようになりました。2001年で初演から20周年ですが「パストラルファンタジー」や「トレピックプレリュード」とともに多くの人達に愛されて何度も演奏されるようになったのは、神戸大学マンドリンクラブの委嘱のお蔭だと感謝しております。

この曲は最初に吹奏楽の為に「CHACONNE」として作曲し、アメリカでも何度か演奏されましたが、長さも「GRAND CHACONNE」の半分しかなく自分でも気に入らない所があったので、神戸大学マンドリンクラブから頼まれた機会に全面的に書き直して今のような形になったものです。

「GRAND」と付けたのは曲の長さも倍になり、よりダイナミックになったからです。

今度は、このマンドリン・オーケストラ・ヴァージョンの「GRAND CHACONNE」を基にして吹奏楽やシンフォニック・オーケストラ版を完成させたいと思っています。シャコンヌはバロック音楽時代に流行った音楽形式の一つで、8〜16小説のテーマが次々とヴァリエーション(変奏)されていくスタイルです。この曲も16小節の旋法的な響きのテーマが次々と変奏を繰り返して増殖して行き大きな全体像を形作っていきます。(作曲者記)



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